Moiz's journal

プログラミングやFPGAなどの技術系の趣味に関するブログです

アメリカの医療費と医療保険について

日本の医療費は安いですね

こんなエントリーが話題らしい
はてな匿名ダイアリー「医者の権益確保システム凄すぎワロタ」
最初の部分、整形外科に行ってレントゲンとって診察受けて処方箋もらって医療費合計 10,750円、というのを見て日本の医療費は安くていいなあ、などと思ってしまった。アメリカだといくらくらいかかるんだろうと思って、去年の医療費のレシートを探してみたら、指のレントゲン写真だけで$160ほどだった。日本円だと1万6千円ほど。ちなみにこれは保険会社による調整が入った後の請求額で、ラボからの元々の請求は$200(約2万円)を越えていた。ようするに保険会社が値切ってくれてこの値段だ。高いですねえ。MRIなんかうけたら数百ドルの請求はごく普通。救急車呼ぶような事態だと数十万円かかったりする。
上記の記事だと日本でのレントゲンの部分の費用は1570円。私の場合の十分の一ですね。その辺の写真館で証明写真撮ったってもっと高いかも知れない。さらに国民皆保険で、ほとんどの人は3割負担。保険料は別途それなりの額かかるとはいえ、リーズナブルな価格だと思う。

アメリカの医療費と保険

さて、アメリカの医療費や医療保険はどうなっているのかというと、実はややこしすぎて現地で住んでいる人でも専門家でも無い限りわけがわからない。医療保険の大枠としては高齢者向けのメディケア、低所得者向けのメディケイド、その他一般向けの民間保険があるわけだが、民間保険はさらにいくつも細分化されていて、さらに州によっても違っていたりして、もはや個人には全体像を理解するのは不可能だ。
そんな訳で、ここでは個人的に見知った範囲でアメリカの医療費や医療保険についての状況をかいて見ようと思うが、ブログ主は医療や保険については素人であり、以下は私の限定的な個人的な経験・体験談に過ぎず、内容についての細かい正確性までは保証できませんし、変化する制度にあわせてアップデートすることもできません。もし最新の正確な情報が必要であれば、公的機関、もしくは保険会社、コンサルタント、雇用先などに確認していただくことをおすすめします。

民間の医療保険

アメリカでは保険に加入する場合、個人的に保険に入るのと、雇用主を通して保険に入る二つの方法がポピュラーだ。特に雇用主を通して加入すると保険料が安かったり、雇用主の援助がでたり、病歴を問わず加入できたり、といった利点が得られる事が多く、可能な場合はこちらを選択することが普通だろう。
私自身はアメリカでは二つの会社で働いたが、業界が同じ事もあり、オファーされる保険の種類も似通っていた。保険の内容は医療保険、歯科保険とわかれており、他にメガネやコンタクトレンズ用の保険もあったりする。
医療保険のオプションで一般的なのはPPOとHMOだ。HMOは毎月それなりの保険料を払う代わりに、病院にかかる際に支払う医療費は少ない。ただし、診療できる医療機関、受けられる治療の種類にはさまざまな制限がかけられる。PPOの方は毎回病院に払う医療費は高いが、自由度が高く、毎月の保険料もHMOよりは安いことが多い。特にHMOの保険の制限は何年か前にマイケルムーアの映画で取り上げられたこともあり、日本でもそれなりにしられているのではないだろうか。この項で取り上げたいのは、もう一つの新しいプランHDHPだ。

医療費の実際 - HDHPの場合

最近現れたHDHPとはPPOのバリエーションの一つで、High Deductible Health Planの略。日本語では何というのかわからないが無理に翻訳すれば、高免責額医療保険プランとでもなるだろうか。その名のとおりDeductible(免責額)が高い、つまり病院での自己負担の額が多い代わりに、月々の保険額が安い医療保険だ。さらにこのプランのみ、後述するHSA(Health Saving Account)と組み合わせる事ができる。
さて実際にこのプランに入るとどうなるのだろうか?
まず、毎月の保険料は前述の通りHMOや通常のPPOに比べると安い。トータルのプレミアムはそれほど違わないらしいが、雇用主の援助がある場合、各個人が払う額は数分の一に下がるケースがある。その代わり、規定の免責額(プランや条件によって違うが数十万円程度)に到達するまでは、各自が医療費を全額支払う必要がある。
患者にとっては実際にはどんな感じになるだろう。ちょっと風邪を引いたりして医者にかかるとすると、かかりつけ医がいない場合、まずは保険のネットワーク内の医者を探す必要がある。PPOやそのバリエーションのHDHPはネットワーク外の医者の診療も認めるが、その場合免責額があがったりと患者の自己負担額が増えるのでなるべくネットワーク内の病院を使った方が良い。ちなみにHMOはそもそもネットワーク外での診療を認めていないのが普通だ。
つぎはそのかかりつけ医に予約して、診療を受け処方箋を書いてもらうことになる。安くて数十ドル、高くて数百ドル、というところだろうか。保険に入っている場合、請求書は一旦保険会社に行き交渉後に改めて自分の所に請求書が送付されるので、その額を振り込むことになる。その年度の医療費の総額が免責額に届くまでは全額自己負担だ。自分で全額払うのなら保険会社には事後に連絡すればいいんじゃないの?とも思うが、かかった医療費は免責額に向けて積み上がっていくので保険会社としてはチェックする必要があるし、加入者にしても保険会社のチェックが入ることで医療費が減額されるのでやはり良いことなのだ。場合によっては数百ドルの請求が数分の一に減ることがあり、こんなときは保険会社の存在がとても有難い。また、アメリカの病院では検査などは別の機関が行うのが普通なので、間に保険会社でも入らないととても把握しきれない。
ともかく、こういった理由で、病院で医師に見てもらった後は事務処理などが無い限り窓口にも行かずにそのまま帰ってしまうことができる。最初は食い逃げみたいで妙な感じだったが次第になれてきた。
処方箋を書いてもらった後は薬局に行って薬を出してもらうわけだが、個人負担額はまたプランによって違ったりする。さらに、しばらくたつと保険会社から連絡のあったメールオーダーの薬局(薬の通販)から連絡があって、そちらに切り替えをすすめられたりする。おそらく通販の方が保険会社の負担が少ないからだろうと思う。
さて運悪く重病や大けがで多額の医療費がかかった場合はどうなるだろう?もし医療費が免責額を超えた場合、保険がほとんどのコストをカバーする。さらに、おそらくプランにもよるのだろうが個人負担に上限を認めていることも多く、その場合上限を超えた医療費はすべて保険会社の負担だ。(もしかすると雇用主も一部負担しているのかもしれない。)そんなわけで万一大病を患ったり大けがをしても、医療費で破産する事態は免れることができる。健康な人がHDHPに入る理由と言えば、こういった万一の場合に備える、というのが第一の理由だろう。
さらに、多くの場合は予防医療は個人負担が無料の事が多い。たとえば年に一度の健康診断や予防接種は大概は全額保険でカバーされる。予防接種が無料になるあたりは逆に日本の医療保険よりも優れているといえるかもしれない。

HSA (Health Saving Account)

このHDHP加入者だけに認められた制度がHSA(Health Saving Account)だ。これは毎月一定額を医療専用口座に積み立てておくことが出来る制度で、加入者への利点は積み立てが税引き前だということだ。アメリカの税金は日本に比べて高いので、これはかなりありがたい。たとえば、トータルの税率が30%だとしたら、実質3割引で医療費が支払えることになる。さらに雇用主によってはこの口座に一定額を給与とは別に振り込んでくれることがあり、そんな場合の実質医療費負担はさらに下がる。
以前からFlexible Spending Accountという税引き前の積み立てることの出来る口座の制度はあったのだが、こちらの場合積み立てた額を使えるのはその同じ年のみという制限があった。つまり、たとえ口座に$5000(約五十万円)残っていても、その年に使い切れないと、次年度には綺麗になくなってしまうのだ。それに対してHSAは口座の残高を次年度以降に持ち越しができるというのが大きなメリットだ。デメリットはもちろん医療費以外には使えないこと。場合によっては国税庁の監査が入ることもあるらしく、その場合HSAから引き出した額がすべて医療費に使われた事を証明しなくてはならない。(メンドウクサイ)

まとめ

以上、個人的に経験した範囲でアメリカの医療費・医療保険についての体験談を書いてみた。こうしてみると、日本の医療費と医療保険のシンプルなわかりやすさが懐かしい。もちろんアメリカの医療機関にもいいところがあって、例えば私がいった病院はどこも日本の平均的な病院よりもはるかに患者向けのサービスがよかった。個人病院でも革張りのゆったりとした椅子や無料のコーヒーのある広い待合室は普通だし、病院の先生が各患者に向ける時間も長かった。ただ、それは私が比較的良い地域の病院にしか行ったことがないからかもしれないし、こういった豪華な設備も医療費を押し上げる要因になっているのかもしれない。第一、オバマケアがまだ施行されていない現在の制度では、医療保険自体に加入できない人が多数存在しているし、保険に加入できても全員が上記のようなすべてのメリットを享受できるわけではない。私自身も、現在は自分の加入している保険に満足しているが、先々転職などした場合どうなるかはまったくわからない。
ついでに言うと、アメリカでは医療保険プランは毎年めまぐるしくアップデートされて加入者が変更を確認するのも大変なほどだし、オバマケアが本格的に運用されればさらに大きな影響があるだろう。そんな変化を追いかけること自体が各個人にとっては大きな負担になっている。(毎年年度末になると、みんな来年の医療保険はどうしようと頭を悩ませるのです。)そういう意味でも、日本の医療制度ってわりといいんじゃないの?という気がする。

最後にくどいようですが、私は医療・保険などに関しては素人であり、上記の記事はたんなる個人の経験・体験談です。したがって、正確性や一般性は保証できません。最新の正確性が担保された情報が必要な方は、公的機関・雇用主・保険会社などから正しい情報を入手いただくことをおすすめします

Onenoteとの組み合わせでOutlook+GTDの弱点を克服する

OutlookGTD

ライフハックの九割は時間の無駄、残りのほとんどもたいして益がないが、中にはごく希に良い物も含まれている。私が使っているのは、もはや定番すぎてここに書くのも恥ずかしいが、GTD (Getting Things Done)だ。GTDの中身については本家David Allen氏のGetting Things Done「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」)を参照していただくとして、ここではOutlookGTDを使う際の問題点と、不完全ながらその対処法について書いてみる。
注意点:これはあくまで私の環境での動作報告であり、同様の環境で必ず動作することを保証するものではありません。試される方は各ツールのマニュアルに従い、ご自分の判断でご使用ください

Outlookの問題点

ここまで書いておいてなんだが、OutlookGTDの相性はあまり良くない。一応本家David Allen氏のホームページではOutlookを使ったGTD実践ガイドもダウンロード販売されてはいるが(https://secure.davidco.com/store/catalog/Setup-Guides-p-1-c-263.php)、もともとGTD向けに作られたツールではないのでいろいろと微妙な問題が出てくる。大きな問題はステータスの設定ができないこととプロジェクトが扱えない事だろう。ステータスの方は、私はそれほど重要視していないし、なんならカテゴリー(Outlook Setup Guideではコンテクストに使われる事になっている)にステータスも加えることだって出来る。対してプロジェクトの方は、GTDでは「二つ以上のアクションで構成される物」という非常にシンプルな定義になっており、大概の「やらなきゃいけないこと」は「プロジェクト」になってしまうほど重要なものだ。にも関わらず、Outlookにはプロジェクトを扱う機能がない。じゃあGTDに使わなきゃいいんじゃないのと言いたいところだが、職場で指定されているなどの理由で否応なしに使わざるを得ない人も多いのではないだろうか。(逆に、もしそうでなければ、素直にWebベースのGTD対応ツールなどを使った方が良いと思う。)

Outlook上でのプロジェクト

Outlook Setup GuideではプロジェクトをOutlookカテゴリーとして定義して、プロジェクトから派生するアクションを個別のOutlookタスクとして定義することを薦めている。プロジェクトと各アクションを直接つなげる機能はOutlookからは提供されないので、ワークアラウンドとしてタスクの名前にキーワードをいれる方法が提案されている。例えば、

  • カテゴリー: .Project
  • タスク:旅行の計画

に対して

  • カテゴリー:@Computer
  • タスク:ホテルの予約-旅行

などとアクションを立てる方法だ。この場合「旅行」がキーワードになる。
ただし、この方法をとるにはいちいちキーワードを覚えておく、毎回入力する、アクションが終わったら自力でもとのプロジェクトを探してアップデートする、という面倒がつきまとう。良いキーワードを常時見つけるのは大変だろうし、気をつけないとアクションが終わったのにプロジェクトに反映されないプロジェクト迷子現象が起きてしまう。

Onenoteとの組み合わせ

Outlook単体で解決が難しいプロジェクトだが、Onenoteと組み合わせると解決方法が見えてくる。
Onenoteは言わずと知れた何でもノートだが、代表的な機能は強力なリストだろう。しかもこのリストの項目はタスクとしてOutlookにリンクすることができる。この強力なリスト機能をGTDのプロジェクトとして使ってしまおうというのが今回の方法だ

  • まずGTD専用のノートブックを作る
    • とりあえず、GTD Projectという名前をつけた
  • 1つのプロジェクトにつき一つのノートを作る
  • プロジェクト名をノートのタイトルにする
    • 「夏休みの旅行」というプロジェクト名にしてみる
  • プロジェクトをOutlookのTaskとして登録
    • HomeからOutlook Task、Customを選択。(またはShift + Ctrl + K)
    • カテゴリーを.Project、日付を希望の日時に設定

これでプロジェクトができた。あとは、アクションを追加していく

  • ノート内にアクションやその他の情報をリストとして書き出す
  • 次のアクションを選び、タスクとして登録


OutlookOnenoteのアカウントを設定していれば、これでOutlookの方にもプロジェクトとタスクが登録されているはずだ。

あとは終わったタスクのフラッグをクリックして完了させたり、プロジェクトの次の項目を新たにタスクとして登録したりすることができる。
この方法の良い点は、Outlook上のTaskからもとのプロジェクトが参照できること
タスクをクリックするともとのOnenoteのノートへのリンクが現れるので、このリンクをクリックすればもとのプロジェクトにたどり着く。これで、アクションを終了したのにどのプロジェクトの項目か忘れて進行が滞ってしまう自体を防ぐことができる。

(2013年6月26日追記)複数PC間の同期について

(コメントで指摘があったので、複数PC間の同期について書いておきます。)
職場など、Outlookを使わざるを得ない状況ではExchangeサーバーとOutlookが同期されているケースが多いと思うが、その場合Outlook上に登録されたタスクはOnenoteから派生した物であってもExchangeサーバーに反映されているようだ。私自身は出先でのタスク確認を行う必要がある場合はExchangeサーバー経由で携帯電話かOutlook Web Accessからタスクの確認を行っている。ただし、Onenoteに保存されているプロジェクト情報が同期されているわけではないので、プロジェクト自身の参照や編集はオリジナルのOnenoteプロジェクトが保存されているPC上で行う必要がある。このあたりもし解決策が見つかったらまた改めて記事を更新したい。

まとめ

Onenote上にノートを作成しOutlookタスクとして登録することで、GTDのプロジェクトとして利用することができる

非破壊自炊

「日本の富士通は、書籍を最初にスキャナで取り込んだとき、
本を束ねたままではスキャンできない事を発見した。

これでは裁断しないと自炊ができない。

富士通の技術者たちはこの問題に立ち向かうべく、数年の歳月と巨額の開発費をかけて研究を重ねた。

その結果ついに、本を裁断しなくても、指が映り込んでいても、凹凸があっても、、
どんな状況下でもどんな表面でもスキャンできるドキュメントスキャナを開発した!!

一方アメリカは電子書籍を使った。」

http://scansnap.fujitsu.com/imgv4/jscan/product/sv600/index-002.jpg
http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/sv600/

米国での転職

この項を書くにあたって


事情があって、昨年から今年頭にかけて転職をした。
米国で、現地企業から別の現地企業への転職(ちなみにどちらも半導体業界)と言うことでいろいろあった上に、考えてみれば自分自身初めての転職だった。そういうわけで、いろいろ良いこと悪いこと(悪いことは意外な程少なかったが)含めて初めての体験が多かったので、記憶が鮮明なうちにまとめておこうと思う。(ただし、個人や特定の団体に関わる部分はぼかして書くことにする)

転職活動

いろいろあって転職することになったのは昨年11月末。転職先が完全に決まったのは1月。実際に働き始めたのは3月だが、実質2ヶ月の短い活動だった。同時期に転職活動をしていた人の中には、一月後には別の会社で働いていたという人も珍しくない。このあたり、やはり転職が日常茶飯事のアメリカ企業という感じがする。
実際転職先を探すときに、私が頼った方法は3つ。まず一つ目は定番のコネ。昔の同僚に誘ってもらう、つてを通して探してもらう、逆に知り合いを通して求人情報が伝わってくる、という感じだ。これは上手くはまれば、あっという間に決まってしまう。私の知り合いでも短期間で転職に成功した人たちは大概これのようだ。私自身も知人のコネで何社か面接を受けた。
もう一つは、自分から働きかける方法。昔なら電話で自分を売り込んで郵便で履歴書を送るところなのだろうが、今のご時世ハイテク企業で求人を出している会社はどこもWEBで求人内容を公開している。大きな会社ならば、サインアップしおけば、履歴書を登録しておけたり、条件にあった求人が出たときにメールアラートを送ってくれるようなサービスをしているところも多い。たとえばアップルの求人サイトはここ。(ちなみに、私の転職先ではありません)
http://www.apple.com/jobs/us/index.html
条件的には厳しくなるが、日本等の海外からの登録ができる所も多いし、うまく進んでいざ採用となれば会社がビザの発給を援助してくれるのも普通なので、もし米国での就職を希望している人がいたら、ダメ元で登録しておくというのも手だと思う。(もちろんビザが降りるかどうかは米政府しだいだし、実際にどう行動するかは各人次第なので、どんな結果になっても責任はもてないが...。)他にも条件を入力すると求人情報を検索してくれるWEBサイトが多数ある。たとえばこんなところ。
http://www.monster.com/
さて、最後が人事コンサルタントや採用担当者から声をかけられるというものだが、これが意外と件数がある。ただし、想像するような華やかなものではない。どうもこういう職種の方も成功報酬でやっているらしく、企業の求人と転職希望者とのマッチングの数をこなしているようだ。だから、誘いの声がかかっても「ヘッドハンターから声がかかった、これからは高収入でエグゼクティブの仲間入りだ!」とか早合点するとがっかりすることになる。よっぽどの人材でもなければ、声がかかった後は履歴書を送って電話面接のアポイントをとり...、という通常のコースをとることになるし、給料も相場通りだ。といっても、こうやって声をかけてもらえると言うことは少なくとも自分の経歴やスキルと求人のマッチングはとれているということだし、間の面倒なステップも肩代わりしてもらえるので楽だし、と良い面もある。では、どうすれば声をかけてもらえるかというと、やはりこれがLinkedInになる。とりあえず、米国で転職しようと思っているのならLinkedInのプロフィールは完成させて、設定で転職の問い合わせを「受ける」にしておこう。(Settings -> Communications -> Select the types of messages you're willing to receive -> Career opportunitiesにチェック)。もちろんアカウントがなければ作っておこう。条件さえ合えば、問い合わせがじゃんじゃん来るかもしれない。もし来なくても、それはたんに巡り合わせがわるいだけなので、気にしないでおこう。

面接

こういった方法で転職活動を行っていると、中には結構良い反応が返ってくる物もでてくる。こうなると、次の本格的な段階に入る。流れとしてはこういった感じ。

  1. 電話またはメールによる問い合わせ、やりとり。履歴書の送付
  2. 人事担当者との電話インタビュー
  3. 採用担当者らとの電話インタビュー
  4. 実際に顔を合わせてのインタビュー
  5. オファーの提示と条件交渉
  6. 転職完了

まず、1は書いてあるまま。2は、はっきりいって候補者の絞り込み。求人と応募者の能力・希望がマッチしているかどうかを確認する。電話する相手も人事担当者などのケースが多く、仕事の内容の細かい話はあまりできないこともしばしば。余談だが、一度電話インタビューの案内のメールで題名が Filtering interview と書かれたままのものが送られてきたことがあり、笑ってしまった。
3の採用担当者らとの電話インタビューでやっと本格的に仕事の話に入る。採用担当者はHiring Mangerと呼ばれ、彼・彼女が採用の決定を行う。電話インタービューは複数との間で行われることが多く、大概この時点ではだれがHiring Managerかわからない事が多い。話す内容は、これまでの仕事の経歴、能力、次の仕事の内容、など。場合によってはクイズのようなものを出されることもある。このあたり小賢しいテクニックもあるようだが、私は合わないところに入社してもしょうがないかと思って、おおむね正直に答え、できる限り他の方面からフォローした。
この電話インタビューをクリアすると、晴れて4.の対面での面接に挑むことになる。ここまで来ると会社の方も、交通手段やホテルを用意したり、担当者を一日拘束したりするので、かなり本気になる。もちろん同時に複数の候補者の選別にあたっているのが普通なので安心はできないが、それでも最終行程に入ったのは間違いない。これまでのプロセスは、このインタビューの機会を掴むための準備なのだ。
服装に関しては、私はスーツを着ていったが、ハイテク企業であればもう少しカジュアルな格好が普通のようだ。よく聞くアドバイスは、面接の相手よりも極端に良い服を着てはいけない、ということ。一つ言われたことは、男は楽だ、と。スーツを着ていって、相手が上着無しなら自分も上着を脱げば良い。ネクタイをしていなければ、自分も許可を得て外せば良い。相手がポロシャツやTシャツなら(あり得る!)、シャツのボタンをはずして腕まくりでもすれば良いと。女性はそのあたりの調節が難しいそうだ。
そのインタビューだが、以外と和やかにすすむ。日本のような圧迫面接みたいなのは、採用担当者が日本人でもなければ、まずない。内容は主に仕事の内容について。実際的な仕事の知識・経験について尋ねられるし、こちらにもかなり長い時間を質問させてくれる。ここでも、面接突破テクニックのような物もあるようだが(「ふるい落としのための質問を察知してはぐらかす方法」などがあるらしい)、私ら中年くらいのキャリアになるとそういう表面的なものでごまかせる物でもない。一番の対策は転職活動を始めるまでの間有意義なキャリアを積んでおくことだろう。
晴れて対面インタビューを突破すれば、割とすぐに採用の連絡が来る。早いところでは数時間、遅くても数日だった。なかなか連絡がないところは断られることが多かった。返事が早い理由はおそらく次のオファーの提示までの期間が長いからだろう。
5のオファーというのは、ようするに採用条件だ。これは前職の給与(普通は転職で上がる)、次の職場、地理的条件、などを元に人事担当者が提示してくるのが普通だ。アメリカらしいと思うのが、真っ先に示してくる条件が健康保険を含めた福祉の条件なところ。このあたり、国民皆保険の日本と違うところだろう。ちなみに、条件の中には引っ越しの補助とともに、転職ボーナス(年収の数パーセント)が含まれるのが普通だ。このオファーがでるまでに結構な時間がかかる。短いところで2週間、長いところでは1月以上。あまりに待たされると、採用すると聞いたのは空耳だったのではないかという気がしてくるほどだ。
そうやって長い期間を待ち、オファーを受け取っても終わりではない。次は条件交渉だ。アメリカではオファーに対して交渉無しでOKを出すことは少ない(というふうにあとから聞きました)。実を言うと私は即OKしようとしたが、周りから止められて交渉した。求める条件が全てが認められるわけではないが、もっともな理由がついていれば認められることも多い。たとえば地域ごとの給与格差がある場合、資料を提示してより高い給与を求める、という手がある。さらに言えば、たまにオファーが間違っている(引っ越しの補助が抜けている等)こともあるので、そのあたりの指摘もしておく必要がある。人によっては複数のオファーを天秤にかけたり、一方を利用してもう一方の給与を吊り上げたりするらしい。
こういった条件交渉が合意に届いて、オファーを受けた時点で転職活動はほぼ終了。この後、身元確認(職歴の確認、労働許可や犯罪履歴などの参照)などがあるが、普通は問題なく終わり、入社手続きへと進んでいく。(身元確認は面接などの段階で行われることもあるようだ)

その他の事

ここまでさらっと書いてきたが、結構大事なのが履歴書だ。ネットをみてまわると上手な履歴書の書き方なんてものあるし、転職コンサルタントにたのめば書き直しもしてくれる。履歴書は自由書式だが、年齢は書かないし、書いてはいけない。写真もいれない。性別もかかない。特技や趣味も普通書かない。書くのは職歴・学歴・技能など仕事に関わることだけだ。志望動機なども履歴書には書かないが、これはカバーレターに書くことができる。手書きで書いてもいいんだろうが、受け取った人はずいぶん変わった人だと思うだろう。ひょっとしたら頭がおかしいと思われるかもしれない。
アメリカの転職でもう一つ重要なのが労働許可だろう。私の場合幸運なことに転職前にグリーンカードを取得していたので問題なかったが、就労ビザで渡米している人はスポンサーの切り替えを行わなくてはならない。それでも日本人はまだ楽な方のようで、中国国籍の人たちはビザの上に輸出コントロールの許可がでないと就労できないという。ちなみに日本人はグリーンカードの申請自体すくないので手続きもすぐ進むため、実は在米日本人エンジニアはこういう面では他の国の出身者よりも有利なんじゃないかという気がする。

最後に

普段日本語で長い文章を書くなんて事はほとんど無いため、行為自体に影響されているのかもしれないが、こうやって転職の経緯をまとめているとやはり日本での転職と米国での転職はずいぶん違うんだなという気がする。自分は転職は初めてとは言え、日本で転職活動を少ししたことがあるのだが(途中で止めた)、その時に比べるとずいぶん気楽に事を進めていたような気がする。その分アメリカは、映画マイレージマイライフで描かれたように解雇が簡単だったり、失業で健康保険が切れてしまう事があったり(自分で入る保険はあるがありえないほど高い)、日本に比べて厳しい面も多い。正直言って、元気なうちはいいが、弱ってきたらちょっと住み続けたくない。とはいえまだまだチャンスの多い国、できれば日本のエンジニアもどんどんやってきてほしいなと、中国人・インド人が多数をしめる同僚達に囲まれつつ日々考えている。

まとめ

米国で転職したので顛末をまとめた。面接たくさんした。交渉しよう。

ATOK2013の環境依存文字警告

Surface Pro 128GBを購入しました。
使って見た感想としては、PCとしてはまったく問題ないのですが、タブレットとして使うにはまだまだという感じ。今後のアプリの拡充に期待というところでしょうか。

ここからが、本題。
以前から使っていたATOKパスポートをSurface Proでも使って見たのですが、英語環境のせいか変換候補を表示させるたびに「環境依存文字」という警告が表示されて大変じゃまです。
ATOKプロパティ -> 校正支援 -> 環境依存文字 から、「JIS X 0208外の文字を含む候補の指摘・抑制」を「しない」に変更してとりあえず対処療法。
あくまで対処療法なので、正しい解決方法をサポートに問い合わせてみるつもり。