CLionとラズベリーパイ4
はじめに
先日まで知らなかったのですが、CLionやPyCharmはラズベリーパイで動作するようです。
とくにしかけは必要ありません。ただ配布されているパッケージをインストールするだけです。 どうやらCLionやPyCharm含めたIntelliJ系のIDEはほとんどの部分Javaで動作しているようです。
ただし、オフィシャルにサポートされているわけではないようなので、試される方は自己責任で実行ください。
また、当ブログの著者はこのブログで紹介した内容を実行した結果について、いかなる責任も負いかねます。
CLionをラズベリーパイ4にインストール
CLionをラズベリーパイ4にインストールしてみます。使用した機種はRaspberry Pi 4B 4GB版で、OSはRaspbian OSの32bit版(Buster)です。
Raspberry Pi OSの64bit版でもインストールできましたが、手順に一部細かな違いがありますので、そういった点も紹介します。
まずはLinux版のパッケージをダウンロードします。
ダウンロードしたら解凍して、インストールしたいフォルダに移動します。
今回は/home/pi/bin/
にインストールしました。
# ダウンロードしたフォルダで実行 # ファイル名はダウンロードした実際のファイルに一致させる tar -xvf CLion-2020.1.2.tar.gz # インストールしたいフォルダを指定。今回は~/bin/にインストールする。 mkdir -p /home/pi/bin mv clion-2020.1.2 /home/pi/bin
Java VMがインストールされていなければ、インストールします。 自分が試したところ、64bit版のRaspberry Pi OSではデフォルトではインストールされていませんでした。
sudo apt update sudo apt install default-jdk
あとはbin
フォルダ以下のclion.shを実行します。
/home/pi/bin/clion-2020.1.2/bin/clion.sh
うまく動作すれば、プライバシーライセンスなどの確認画面が表示されますので、レビューして問題なければ許諾して進みます。
初回起動時はスクリプトの設定やプラグインの設定画面がでます。今回はデフォルトのままで進みます。
また、途中でライセンスの確認画面が出るので、ライセンスを持っている場合は入力する必要があります。なければ評価版として進めて行きます
CLionの実行環境の設定
初回の実行時、自分の環境ではこのような設定画面が表示されました。
どうもバンドルされているcmakeが実行できないのが原因のようです。おそらくx86用のものしか付属しないのでしょう。
解決するためにcmakeをインストールして、CLionに設定します。
sudo apt install cmake
cmakeとgdbのパスを設定すると、のこりは自動で設定されます。
これでCLionが起動できます。
CLionの動作確認
この節は単なる動作確認です。 通常のLinuxでの動作と同じなので、CLionをご存知の方は読み飛ばしても問題ありません。
さっそくNew Projectを選んでみましょう。C++ Executableを選択して、LOCATIONをhelloにします。
Createをクリックして次にすすみます。
すでに"Hello, world!"と表示するデフォルトのmain.cppができています。
右上の三角形をクリックして実行します。
Hello, world!と表示されました。動作確認成功です。
追加の設定
2回めの起動以降、外部のファイルをモニターするfsnotifierが動作しないという警告が表示されました。 これは、fsnotifierをコンパイルしてパスの設定をすることで回避できます。くわしくはこちらを参照ください。
Compiling File Watcher - IntelliJ IDEA - Confluence
上記の記事にしたがって、必要な実行ファイルを作成してCLionに設定してみます。
まず適当なフォルダを作って、その中で以下のコマンド実行して必要なファイルをダウンロードします。 これは一つ一つブラウザなどからダウンロードしても構いません
wget https://raw.githubusercontent.com/JetBrains/intellij-community/master/native/fsNotifier/linux/fsnotifier.h wget https://raw.githubusercontent.com/JetBrains/intellij-community/master/native/fsNotifier/linux/inotify.c wget https://raw.githubusercontent.com/JetBrains/intellij-community/master/native/fsNotifier/linux/main.c wget https://raw.githubusercontent.com/JetBrains/intellij-community/master/native/fsNotifier/linux/make.sh wget https://raw.githubusercontent.com/JetBrains/intellij-community/master/native/fsNotifier/linux/util.c
次にmake.sh
を実行します。
chmod u+x make.sh ./make.sh
32bit版だと、fsnotifier-armv7lというファイルができています。(64bit版ではfsnotifier-aarch64)
これをpycharmのbinフォルダにコピーします。 以下は先程のインストールパスの場合の例です。違うフォルダにインストールした場合は、そのフォルダにコピーしてください。
cp fsnotifier-armv7l ~/bin/clion-2020.1.2/bin/
CLionに戻って、Help -> Edit Custom Propertiesを選択します。ファイルを作るか聞かれたらYesを押して作成します。
以下の行を入力して、セーブします。
32bit版の場合
idea.filewatcher.executable.path = fsnotifier-armv7l
64bit版の場合
idea.filewatcher.executable.path = fsnotifier-aarch64
これでfsnotifierに関する警告はでなくなると思います。
その他のIntelliJ製品
Raspbian上にPyCharm CEをインストールしてみたところ、こちらもインストールができました。
まとめ
ラズベリーパイ4にCLionをインストールしてみました。 最低限必要な事前準備ははJava VMがインストールされている事と、cmakeなどのC++開発自体に必要な環境が構築されていることを確認することだけです。
自分自身インストールしたばかりでどんな使い勝手かまだわかりませんし、どんな不具合があるかも予想できませんが、いろいろ試してみようと思います。