はじめに
ブラウザ上でデジタル回路設計と検証が行えるウェブページEDA Playgroundを紹介します。
https://www.edaplayground.com/
書いている人とEDA PlaygroundおよびDoulosとの間にはなんの関係もありません。
EDA Playgroundとは
EDA Playgroundとは、VictorEDAにより開発され、半導体回路の設計・検証のトレーニングを行うDoulosによって提供されるWebサービスです。 ブラウザ上で各種半導体デジタル設計言語による設計のシミュレーションや検証が行なえる学習用のツールです。 サポートする言語としては、Verilog HDL, System Verilog, VHDLなどがあります。
- 一回の実行時間は60秒まで
- メモリーの使用量は100MBまで
という物があります。本格的な設計をするには心もとないですが、もともと学習用でありそういう用途に使うツールではないと思います。逆に学習用と考えると広い使いみちが考えられます。
また、特筆すべき点としてサポートする言語機能の範囲があります。 たとえばAltera製FPGAに付属するModelSim-Altera Starter EditionではSystem Verilogのアサーション機能やパラメータ乱数化機能はライセンスの関係で使えません(私が使用した時点での制限であり、現在では変わっている可能性があります。) しかし、EDA Playgroundではこういった高度な機能も使用可能になっています。
EDA Playgroundでのシミュレーション
実は、Youtubeに開発者による紹介ビデオが上がっています。
ここまで説明してきてなんですが、EDA Playgroundの使い方はこのビデオを見ていただくのが一番だと思います。
そうは言っても、それだけでは寂しいのでシミュレーションの画像を紹介します。
まず、EDA Playgroundのページをブラウザで開きます。
まずは右上のLoginからログインしておきましょう。詳細は省きますが、EDA Playgroundのアカウントを作らなくても、Gmailやfacebookのアカウントでログインできます。
次に、言語とデザインを設定します。今回は言語はデフォルトのSystem Verilog/Verilogのままにしておきます。 デザインとしては例から選んでみましょう。まず左側のコラムのExamplesからVerilog/System Verilogを選択し、出てきたリストからD flip-flopを選択します。
これでデザインとテストベンチのウィンドウが埋まるはずです。
ではシミュレーションしてみましょう。 まずあとからウェーブフォームを確認できるように、左側の"Open EPWave after run"のチェックボックスをクリックして選択しておきましょう。
左上のRUNボタンを押すとシミュレーションが始まります。
シミュレーションが終わると、波形が表示されます。
以上です。簡単ですね。
最後に
半導体回路の設計を学ぼうとすると、言語や設計技法の習得以前に、コンパイラやシミュレーターや波形ビューワーなどツールの準備に手間がかかってしまいます。 開発ツールの導入は、単に技術的な点だけでも難易度が高い上に、ツールの入手も多くは有料、ないしは基板とのバンドルなどになります。 また、それでさえもライセンスによっては使用できる機能に制限があり、学びたい機能が使えないという事もよくあります。
最近ではオープンソースのツールも増えてきましたが、それらも導入が簡単とは言えません。
そういった状況が、回路設計を新たに学ぼうという方々に対する参入障壁になっているようです。
それに対してEDA Playgroundはブラウザ一個があれば誰でもデジタル回路設計のシミュレーションが始められ、機能的な制限も非常に小さい(規模的な制限あり)、という非常にありがたいものになっています。
その割に日本での知名度がそれほど高くないのが残念だったので、1ファンとして簡単ながら紹介記事を書かせていただいた次第です。