Digital Design and Computer Architecture - RISC-V Edition を読んだ
タイトル通りです。2nd Editionは長いことパラパラ眺めただけの積ん読状態だったのですが、RISC-V版がでた機会に、年末年始休みに読み始め、やっと読み終わりました。
2nd Editionとの違い
まず気がつくことは、2nd Editionに比べて薄くなっていることです。この辺り紙質の違いもあるのでしょうが、2nd Editionの最後のページが690ページなのに対して、RISC-V Editionは564ページです。
これは、2nd Editionで付録だったDigital System ImplementaitonとC Programming、更に、8 Memory and I/O SystemsのI/O部分が、オンラインでダウンロードできるPDF形式に代わり本誌から除かれためで、残りの部分のボリュームはあまり変わってないようです。
この版のメインの変更点であるRISC-Vの採用ですが、大きな変化があるのはChapter 6 ArchitectureとChapter 7 Microarchitectureです。この2章は対象命令アーキテクチャをRISC-Vに変更して書き換えられています。 またダウンロード版PDFのChapter 9 Embedded I/O Systemでも、RED-VというRISC-Vを使ったボードを使った説明を行っています(2ndではMIPSが載ったPIC32MX675F512Hを使用) 。 逆に言うとそれ以外の章はあまり大きな変更はないようです。
ちょっと気になったのが、Chapter 9 Memory Systemsで、仮想アドレスの変換を説明する際の例がMIPSだった事です(522ページ)。このあたり、版を重ねていくうちに直って行くのでしょうか。
もう一点、私の手元にある2nd Editionとの違いだとして、RISC-V Editionの方は一部青い印刷を使って色分けしていて、読みやすくなっています。(このあたり、私の手元の2nd Editionがたまたまモノクロ版なだけかもしれませんが。)
本全体の感想
本自体の感想としては、デジタルデザインの原理から、回路、HDLの解説に、命令アーキテクチャ、マイクロアーキテクチャ、メモリーシステムと、一通り丁寧に説明されていて、このあたりをまとめて学ぶにはとても良い本だと思いました。 もちろんこの本一冊で、こういった分野の全ての内容について触れるのは不可能ですが、初めてこういう分野を学ぶ人には次に進む良い準備になると思います。 あれがない、これがない、というのは簡単ですが、この本のトピックの取捨選択はうまく最小必要なトピックを集めているように感じました。
学生の頃にまず最初に読んでいたら、その後の学習効率が大分あがっただろうと思われてなりません。 そして、今の自分としては短時間にいろんなトピックがおさらいできて楽しく読書できました。時間があったら練習問題もやってみようかなと思っています。
ところで、今(2022年2月)アメリカで購入する場合、Elsevierのサイトで購入すると書籍とPDFのセットがお得なようです。知らずにアマゾンで購入してしまい、本棚のスペース節約のためにPDF版を別に買うか迷っています。